<第54回:次の級を目指す時にほぼ全員やりがちな『やってはいけない勉強の仕方』②>

前回、

単語を含む基礎力が半分以下でも合格

という現行の英検でしばしば起こるおかしな現状をお話ししました。

・インターナショナル幼稚園卒などでリスニングだけは得意な一方で、文法は一度もやったことがない。でも2級(高3までの内容)合格=修得認定。
・どうしても次回までに合格しなければいけないけれども、ぜんぜん勉強をしていない人でさえ、ライティングの満点の取り方を教えれば1技能で合格。

このような事例は枚挙にいとまがありません。
しかしながら、制度が変わらない限りこのいびつな状況は今後も続いていくことでしょう。

問題なのは「合格したからその実力が伴っている」ということではない

これです。

これは1技能に秀でた人のみに言えることではなく、約65%で合格できてしまう英検がまずいのですが、合格した人はすぐ次の級へと取りかかってしまうのもまた難ありと言わざるを得ません。

つまり、8割以上の点数で合格した人以外は

合格してもその級の本当の実力が付くまで先に進むべきではないのです。

なぜならば、次の級では、その前の級の単語などを中心に長文を構成しているからです。言い換えれば、「下の級の語は一通り知っているでしょ」という前提です。

英検の級の難易度は逆ピラミッド形式です。
上に行けばいくほど、難易度が段違いに難しくなっていきます。

【次の級合格までに必要な英語学習時間】

・3級合格者→準2級合格=700時間

・準2級合格者→2級合格=1000時間

・2級合格者→準1級合格=2000時間。

このデータを見ていただけば、一目瞭然でしょう。
英検準2級あたりから、一発合格が難しくなるのはそのためです。

すなわち、早く次の級に合格した人は、「急がば回れ」の精神で合格した級の実力をまずつける。

↑コレが鉄則です。

でなければ、上の級の長文や語彙語法問題などの穴埋め問題をするときの前後の文脈が分からないのですから、さらに知らない単語を選ぶのは勘でも困難になるのは当たり前なのです。

事実、弊学院の授業中に問題を解かせてほぼ0点だった生徒が、前後の文章の訳を正しく出せさえすれば答えは全部正解できた、このようなことは日常茶飯事です。

逆に、文中の基本的な単語をまずは一通り把握したうえで、正しく訳出しさえできれば答えは自ずと合うものだ、ということをこの事例はよく物語っています。

もっとシンプルに分かりやすく言えば、意外とそっちのほうが合格しやすい。

ぜひ、焦っている時こそ基本に立ち返って地固めをしてください。それこそが「真の合格」の近道となることでしょう。

熊本ザ・グローバル学院
学院長 糸岡天童