どこよりも詳しい今回の英検:ポイント解説と総評【準2級】(2020年10月9日本会場分:22年度第2回)

<リーディング:(難易度:★★★☆☆)>

〇総合:

一見、標準レベルに見えるが、きちんと読むと意外とスパイスを効かせたような箇所が散見される。おそらく多くの受検生が気付かずに素通りしていることと思うが、正確に丁寧に詳細を確認しようとすれば、きっと2級合格者でも答えられない部分がけっこうあるだろう。ただし、直接解答に大きく影響を与えるわけではないため、そういう意味ではふつうの難易度と言えるが、教材としてはなかなか優秀な問題であった。ぜひ受検者もそうでない方も、準2級・2級を受ける人には下記のポイントに注意しながら一通り解いてもらいたい問題だ。

〇語彙語法問題:(難易度:★★★★☆)

・(2) ”none of his shoes”が主語でその後ろの動詞を選ぶ問題。全体が否定文になる点に注意。なお、対象が2つしかない時は “neither”を使うことも抑えておきたい。

・(4) ”Momoko lives in Tokyo, which is~”は関係代名詞の「非制限用法」である。文によっては文意が変わるため、このようなところは丁寧に「ちなみにその東京は、日本の東部にあります」とつなぎ言葉を出す習慣をつけておきたい。

・(5) 文頭の”Xinag”を見て、「なんだこれ?」と思った人は意外と多かったのではないだろうか。もしくはわからないまま素通りしたか。これは中国人名で「シィァン」などと読む。アメリカ大学在学中、第2外国語の授業に中国語を選択していた学院長にとっては、今回はじめて英検で中国人名を出してきたのを見て大ウケであったが、逆に受験生でこれがわかった人はほぼ皆無であったことだろう。英検さんもこれはおもしろい試みだが、なかなかに意地悪である。

・(8) 弊学院では訳出しの際に原則カタカナを使わないよう指導をしている。例えば ”bike”は「自転車」だが、ついそのまま「バイク」としてしまう子が必ず一定数存在するからだ。日本人が言う「バイク」は英語では “motorcycle”である。日ごろの日本語のカタカナへの取り組みが文意を理解しやすくしてくれる問題である。また、”less”は「あまり~ない」だ。故に”they use less gasoline.”は「バイクはあまりガソリンを使わない」となる。

・(11) 男の子に対して”cute”を使っている。これは世界では日常的でもちろん大いなる誉め言葉だ。大人の男性相手であっても「童顔のイケメン」に対してはよく用いられる。なお、正答の “find out”は「情報を得る」という意味で2級レベルの表現である。意味を理解して答えを導けた人は少ない問題だっただろう。

・(12) 「~し続ける」といえば ”keep Ving”と覚えている人は多いだろう。しかしながら、間に前置詞 “on” を取ることもある。ここまできちんと把握できていただろうか。なお、”on”が入ると「しつこく」というニュアンスが加わる。

・(14) 電話表現が苦手な人は多い。「電話をかける」「電話に出る」「電話で話す」「電話を保留する」「電話を転送する」「電話を切る」。これくらいの基本表現や、それに関わる電話でのやり取り(「もしもし」「〇〇さんいらっしゃいますか?」「私です」など)はごくごく常用のため、言われずとも自分からきちんと調べておかなければならないだろう。

・(18) 定期的に出題されるド定番問題 ”other”の代名詞の使い方。これは完全に理解しておかなければならない基本問題であるし、マスターしていた人にとっては極めて簡単なサービス問題だったろう。もし取りこぼした人はもう一度辞書で詳細を確認しておこう。

〇会話問題:(難易度:★★★☆☆)

・(22) ”Certainly.”はお店で最もよく使われる表現のうちの一つで「かしこまりました」の意。”What can I get for you?”「(店員さんがお客さんに注文などを受ける際に)何にいたしますか?」など、旅行先でも使える「買い物表現」は全て要チェックだ。

・(23) “Four should be enough.” の ”should” は推量の助動詞で「~するはず/~のはず」である。(22)問目にも推量の助動詞”would”が使われているなど、頻度の多さを理解すると共にライティングでも使いやすい「推量の助動詞」もまた必須表現である。

・(25) “see”という単語を知っていますか?と聞けば、全員「知っている」と答えるだろう。しかしながら、出題の ”I’ll see what I can find at the library.” の訳は?と聞かれれば、途端に答えられなくなるはずである。これが準2級以上の特徴で、1訳・2訳覚えているからといって、決してその単語を知った気になってはいけない。”see” は準2級では最低4訳は抑えておく必要があるからだ。「4訳⁉」と思った人、全てすぐに出てこない人は、いますぐ辞書を開こう。ちなみに上記の文は「(私は)何を見つけられるか図書館で確認しておくつもりです」となる。

〇長文穴埋め問題:(難易度:★★☆☆☆)

・(3-A) “A Voise from the Past”

どことなくロマンチックなストーリーで、英検としては少し珍しい展開だった。個人的にはこの手の読み物は嫌いではないし、(27)の答えの選択肢4に ”help me to get back home”があったのはユーモアさえ感じられた。文章レベルとしては”on one’s way home” ”amazing”が準2級レベルで、あとは平易で読みやすかっただろう。

・(3-B) “Hungry Hikers”

中国におけるゾウの話。「ゾウのための特別な公園を作る」→「ゾウが増える」→「食料が足りなくなり、農家や街に出没する」→「戻ってきた後、防止策として特別な食事場をつくる」というのが概略である。ここでも”find out”や”less”が使われている。それ以外の部分は話の流れは掴みやすかっただろうが、より点数をあげるためにはやはり語彙語法問題を通してきめ細かい復習と理解が必要だと訴えかけているかのような内容であった。

〇長文読解問題:(難易度:★★★☆☆)

・(4-A) メール問題

借りた映画の話から、その原作を本屋で買い、そこで見たポスターにある「映画のお祭り」に誘うまでの内容。冒頭の「使役動詞」や、「助動詞+受動態」「There is/are+助動詞」など、基本力があれば簡単、なければ読み間違えが発生する問題だっただろう。また、3段落目では”They’ve all been taken” が「現在完了+受動態」が使われていたが、それ以前にこういうところこそきちんと「代名詞が何を指しているか」を追いかけられていたか、ここが極めて重要なポイントであった。語としては最後の”definitely”以外は特別難しいものは特段なかった。

・(4-B) “Spicy Soda”

いま世に広まっている「ジンジャエール」の生みの親と開発の歴史だったが、そもそも「ジンジャエール」の”Ginger”が「しょうが(生姜)」のことを知らなければ、後半でやや苦戦をしたかもしれない。文法的には「分詞構文」2回、「so ~ that…構文」「比較表現 ”as well as~”」の他、分詞接続詞の “that”も多く用いられていたことから、この長文にからは「文の形が見えるか」という、明確な出題意図が感じられる。語彙も準2級らしいレベルがほどよく織り込まれていた為、きちんとした地力があるかをチェックできる良問と言えよう。もしもこれを難しいと感じたりここで半分以上間違えた人は、基礎の見直しと準2級のレベルに慣れるトレーニングがまだまだ必要である。

<ライティング:(難易度:★★★☆☆)>

“Do you think it is good for people to use smartphones while studying?”

出題としては比較的よく扱われる「スマホ」ではあるが、今回は「勉強しながら」をこれに絡めたのが特徴だった(”while studying”が分詞構文(付帯状況)であることは、準2級受検者であればきちんと読み取っておきたい)。

・賛成派であれば「勉強中に簡単に(素早く)調べものが出来る」「友達と考えをシェア(共有)できる」「勉強のアプリを使いより理解を深めることができる」などが思いつくだろう。

・反対派であれば「勉強に集中できない」から始まりその理由として「ゲームで遊んでしまう」「友達と会話をしてしまう」や、「簡単に答えが出るのは良くない勉強方法だ」「答えを調べられるスマホに頼りすぎてしまう」などが考えられる。

全体的にはこのライティングは否定で入った方が十分な理由を考えやすかったはずである。決して設問自体は難しくないし「スマホ」関連は二次面接でもよく出るため、日ごろからこれくらいの解答は考え用意しておけば高得点が狙いやすい問題だ。

<リスニング:(難易度:★★★☆☆)>

内容としては標準的である。リスニングではあまり難しい語彙や文法が用いられることはないが、準2級には準2級の出題範囲があるため下記のような定番表現・文法は当然入ってきている。リーディングと照らし合わせてみれば何がよく出題されるのか非常にわかりやすいので、そこから押さえていけば合格がぐっと近づく。

今回のリスニングの出題ポイント:

・(1) 分詞構文

・(2) 会話で良く用いられる ”Ma’am” は “mom” ではない。

・(8) “wonder if ~” 「~かぁと思う」

・(12) “could have saved” 推量の助動詞の過去形(仮定法)

・(13) “stamp” は「スタンプ」ではない!カタカナ要注意。「切手」の意。

・(15) 使役動詞

・(16) 関係副詞

・(17) “on ~” 「~について (≒ about)」

・(18) “grocery store” 「食料雑貨店、食料品店」などと訳されるが、要は近所にある「スーパー」のことである。英語の”super market”は例えば「コストコ」のような超大型の店舗を指すので、日本人がイメージするそこらへんの「スーパーマーケット」とは別物だと思っておこう。

・(19)推量の助動詞“should ” 「~のはず」

・(20)会話表現“~, though. ” 「~だけどね」

・(21)「見る・会う」以外の“see ” の訳・使い方。”It takes + 時” 「(時間が)かかる」

・(22) “used to ” 「かつて~した」、”not ~ anymore” 「もう(これ以上)~ない」

・(27) “decide to ~ ” 「~することにする」、”so that ~” 「~するために、~するように」

・(30) “remain + 形容詞 ” 「~(の状態)のままでいる」、”as soon as S+V” 「~したらすぐ、~し次第」