<第21回:世界は戦争話で笑い、日本人は謝り続ける。なにが正解なのか(コラム)>

「ヨーロピアンはお互いの国が大嫌いなんだ!
イギリス、イタリア、スペイン、全部だ!俺の国が一番!」

そこにいたフランス人は衝撃の本音を大声で、そこに居合わせた全員に向かって言い放ちました。

日本人の私は場が荒れるのを恐れ、「それほんとに?」と聞くと
逆に「なんで?当然だろ」と返される始末。

イギリス人が同じテンションで呼応します。
「ああ!フランスなんか大っ嫌いだね!」

そして、彼らは肩を組んで大笑いし始めたのです。

ある日は、そのフランス人と共にドイツ人が、ナポレオンヒトラーを持ち出しては「あいつに攻められた」「こいつが攻めてきた」なんて話を平気でしています。

聞いている分には刺激が強くて面白いのですが、素朴な疑問が浮かびます。
「アジア人は歴史の話は基本しないんだけどさ、特にほら、日本人と中国人・韓国人はその話をすると必ずケンカになるから、ヨーロッパの人たちはケンカにならんの?

すると逆に笑われるのです。
「昔の終わった話よ。ケンカする必要がない。」と。

彼らは本当に仲が良い。
口では何と言おうとも認め合っているし、
認め合っているからこそ何でも言えているのかもしれません。

あるいはヨーロピアン同士だからこそ、とも思うのです。
果たしてアフリカや南米の人がこれを言われても、
同じ心境でいれるでしょうか。

アメリカの大学入学直後のオリエンテーションで、留学生同士の自己紹介がありました。私の同じグループには、たまたまもう1人、教員をしていたという日本人女性がいました。

彼女は
「私は日本から来ましたが、日本は昔戦争をし、それは間違いで、私はそれを本当に申し訳なく、恥ずかしく思っています」と語り始めたのです。

アメリカ人の教授をはじめ全員が絶句しました。
この人はヤバい、という空気でいっぱいになってしまったのです。
以後、少なくとも私はキャンパスでの留学生の様々なイベントや活動の中で、彼女の姿を見かけることはありませんでした。
きっと彼女はなぜそうなったのか、分からずにいることと思います。

日本では、75回目の終戦記念日を迎えました。

グローバルな時代が進み、
求めれば海外の人たちといくらでもつながれる一方、
国際関係は決して全てが平和というわけではありません。

「未来志向」は、お互いが対等な関係であり、
また、相互に認め合ってはじめて成り立つものです。

起きた出来事に対する受け止め方は、立場によっても変わるでしょう。
過去から学ぶことで成長につなげることは、言わずもがな、とても大事なことです。

それと同時・同等に、
いたずらに卑屈であることは
世界では悪い意味で「変わった人(奇異な存在)」に映る
という現実を知っておくことも極めて重要です。

対等で認め合い、
言いたいこと・言うべきことは言うが、
笑い合えるような関係でいる。

語学力だけでなく、
国際的な常識やマナーも備え、世界と堂々と向き合っていく。

台湾民主化の父、故・李登輝元総統は言いました。
「自信を持て、日本人」

日本人として「不戦の誓い」をたてるなら、
そのことが個々にできる小さな、
しかし本物の一歩だと私は思います。

<余談>

翌16日には、全国通訳案内士の国家試験が国内各地で行われます。

「外国語」はもちろん「日本史」「日本地理」のほかに日本の産業、経済、政治、文化など幅広い知識が問われます。

語学系試験では日本で一番難しく、司法試験や行政書士なみであり、現在では合格率が8.5%という敷居の高さですが、世界の最前線でプロとして活躍したいと思うなら、このような資格もあるんですよ♪

熊本ザ・グローバル学院
学院長 糸岡天童